Visualization Laboratory

兵庫県立大学 可視化研究室 (社会情報科学部 / 情報科学研究科)

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ここでは,研究室で開発しているソフトウェアを紹介いたします.

VISMO

概要

VISMO(VISualization MOdule)は,その場可視化を実現するライブラリです[1].FortranのModuleとして提供されます. シミュレーションコードに"use vismo"と記述して,いくつかのサブルーチンをコールするだけで,シミュレーションコードが保持しているデータ(配列)を可視化,つまり画像化して出力します. 描画にグラフィックスのハードウェアは,一切必要ありません. ライブラリですので,これを使用すればFortran言語で可視化プログラムを作成することもできます. VISMOは,多くのIn-Situ可視化ツールと違い,動作させるのにOSMesaやVTK(Visualization Toolkit)は必要としません. Fortranコンパイラさえあれば,動作させることができます. さらに,CコンパイラやLibPNGがあると,より便利に使用することができます.
現在までに,共同研究者やその方々を通じて複数の研究者に使用していただいています. 核融合科学研究所のプラズマシミュレータ(Hitachi SR16000, Fujitsu FX100)や名古屋大学のFX100,東京大学情報基盤センターのOakforest-PACS,海洋研究開発機構の地球シミュレータ(ES3),兵庫県立大学のスパコンなど,国内の複数のHPCで動作させた実績があります. また,並列数は限られますが,PCでも動作させることができます.(実際,開発には主にデュアルコアのMac Book AirとクアッドコアのiMacを用いています.)

利用するには?

VISMOダウンロードページよりオンライン配布版VISMOをダウンロードできます。
現在,カーテシアン座標版[1]とYin-Yang格子版[2]を公開しています. VISMOを用いた共同研究をご希望の方は大野までメール(pj.ca.ogoyh-u.mis@onho (左右逆にしてください) )をください。

デザイン

結合可能なシミュレーション

並列化
MPIで領域分割されているシミュレーションに使用することができます.OpenMPで共有メモリ型の並列化がなされていれば,VISMOもノード内並列で動作します.
対応する座標系
  • カーテシアン座標
  • Yin-Yang格子
  • 四面体格子
の3種類です.それぞれ,微妙に可視化機能に違いがありますが,基本的な使用法は同じです.

可視化手法

基本的な可視化手法が実装されています. 地球シミュレータセンターの可視化グループに在籍して大規模なデータを可視化してきた経験から, 上記の基本的な可視化手法のみで十分と考えています(ボリュームレンダリングすらその必要性を疑っています). VTKを使ったParaviewやVisItなどは,派手な可視化画像を出力する機能がありますが, 「あんなの飾りです.偉い人にはそれがわからんのですよ.」

なぜFortranで記述されているのか?

可視化ソフトは,通常はC言語やC++言語で記述されますが,国内のシミュレーション研究者に,Fortranを使用している方が多いように見受けられますので,Fortranで作成しました.また,OSMesaなどを使用せず,完全にソフトウェアレンダリングとしたのも,国内のHPC事情では,沢山のライブラリをインストールするのが難しいと判断したからです. 稼働させるのに必要なものがコンパイラだけであれば,多くのHPC環境で実行できるでしょう.もちろん,Makefileなど一部は自分で書いていただかなければいけないのですが.

ベクトル計算機

ベクトル計算機では,一般に可視化ソフトは高速に動作させることができません. その問題を解決するため,VISMOの可視化機能をベクトル計算機(地球シミュレータ)向けに修正することをこころみました. 論文発表はまだ済んでいませんが(すみません),スカラ計算機用に作成したバージョンをそのまま地球シミュレータで動作させるより,大幅に速度向上をさせることに成功しました.
今後,NEC SX-Aurora TSUBASA(例えば次期プラズマシミュレータ)での使用を念頭に,改良をしていく計画です.

論文等

VISMOの論文

  1. N. Ohno and H. Ohtani, "Development of In-Situ Visualization Tool for PIC Simulation", Plasma Fusion Res. 9, 3401071 (2014) 外部リンク(jspf)
  2. N. Ohno and A. Kageyama, "In-situ visualization library for Yin-Yang grid simulations", Earth Planets Space 73, 158 (2021) 外部リンク(EPS)

VISMOが利用されている可視化の論文(引用もされている)

Y. Wang, N. Ohno and A. Kageyama, "In Situ Visualization Inspired by Ant Colony Formation", Plasma Fusion Res. 18, 2401045 (2023)  外部リンク(jspf)
A. Kageyama and N. Sakamoto, "4D street view: a video-based visualization method", PeerJ Computer Science, Vol.6, e305 (2020)  外部リンク(PeerJ Computer Science)
A. Kageyama, N. Sakamoto, H. Miura and N. Ohno, "Interactive Exploration of the In-Situ Visualization of a Magnetohydrodynamic Simulation", Plasma and Fusion Research, Vol. 15, 1401065 (2020) 外部リンク(jspf)
陰山聡, 坂本尚久, 大野暢亮, "4次元ストリートビュー:計算機シミュレーションの新しい可視化法", プラズマ・核融合学会誌, Vol.96, No.4, pp.199‐206 (2020) 外部リンク(jspf)

VISMOまたはVISMO-YYが引用されている論文

W. Yan and A. Kageyama, "Autonomous camera for agent-based in situ visualization", J. ADV. SIMULAT. SCI. ENG. Vol.9, pp.220 - 230 (2022)外部リンク
A. Kageyama and N. Ohno, "Chiral pattern in nonrotating spherical convection", Phys. Rev. Fluids 7, 013502 (2022) 外部リンク
H. Miura, "Extended Magnetohydrodynamic Simulations of Decaying, Homogeneous, Approximately-Isotropic and Incompressible Turbulence", Fluids, Vol.4, (2019), 3401030
K. Yoshida, H. Miura and Y. Tsuji, "Spectrum in the Strong Turbulence Region of Gross–Pitaevskii Turbulence", Journal of Low Temperature Physics, Vol.196, pp.211-217 (2019)
H. Miura, J. Yang, and T. Gotoh, "Hall magnetohydrodynamic turbulence with a magnetic Prandtl number larger than unity", Phys. Rev. E 100, 063207 (2019)

動画ギャラリー

核融合科学研究所 三浦英昭教授による一様等方強制乱流シミュレーションのVISMOを利用した可視化動画.
核融合科学研究所 三浦英昭教授による非圧縮性Navier-Stokes 方程式を擬スペクトル法とRunge-Kutta-Gill法で数値的に解く一様等方強制乱流シミュレーション(格子点数 N^3=128^3,粘性値 0.01)のVISMOによるIn-Situ可視化結果.
可視化対象 : エンストロフィー密度
可視化手法:
等値面1 等値面レベル = 平均値+偏差x2(alpha=0.5)
等値面2 等値面レベル = 平均値+偏差x3(alpha=0.75)
等値面3 等値面レベル = 平均値+偏差x4(alpha=1)

核融合科学研究所 三浦英昭教授による非圧縮性Navier-Stokes 方程式を擬スペクトル法とRunge-Kutta-Gill法で数値的に解く一様等方強制乱流シミュレーション(格子点数 N^3=128^3,粘性値 0.01)のVISMOによるIn-Situ可視化結果.
可視化対象 : エンストロフィー密度
可視化手法:
スライス
等値面1 等値面レベル = 平均値+偏差x2(alpha=0.5)
等値面2 等値面レベル = 平均値+偏差x3(alpha=0.75)
等値面3 等値面レベル = 平均値+偏差x4(alpha=1)

核融合科学研究所 三浦英昭教授による非圧縮性Navier-Stokes 方程式を擬スペクトル法とRunge-Kutta-Gill法で数値的に解く一様等方強制乱流シミュレーション(格子点数 N^3=128^3,粘性値 0.01)のVISMOによるIn-Situ可視化結果.
可視化対象 : エンストロフィー密度
可視化手法:
スライス
等値面 等値面レベル = 平均値+偏差x6(alpha=1.0)

その他

VISMOが関係した動画: 神戸大学・陰山教授が,可視化エンジンとしてVISMOを使用して作成した動画が4つあります. 03-hall-mhd.movは核融合科学研究所・三浦教授のシミュレーションコードにVISMOを組み込んだものが使用されています.
核融合科学研究所の三浦英昭教授らの論文: H. Miura, J. Yang, and T. Gotoh, "Hall magnetohydrodynamic turbulence with a magnetic Prandtl number larger than unity", Phys. Rev. E 100, 063207 (2019) のVISMOを利用して出力した画像が,2019年12月の PRE誌のKaleidoscopeに選ばれました.


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VOIR

概要

VOIR(フランス語の動詞で「見る」の意)は,HMD用の対話的可視化ソフトです.UnityとUnityのOpenXR Pluginを用いて開発されています.
現神戸大学の陰山先生が,VFIVE(Vector Field Interactive Visualization Environment)と呼ばれるCAVE用対話的可視化ソフト を核融合科学研究所で開発を開始して,大野もJAMSTEC在籍時に開発に加わっておりました. VFIVEは基本的な可視化手法を備えており,VR用に考案されたGUIで3次元データをCAVE装置内で直感的に可視化できるソフトウェアです. VOIRはそのHMD版です[1].
大規模シミュレーション結果の可視化向けにVOIRにROI機能を付加しました. 1000^3程度のデータであれば,VOIRで可視化することができます[2].

利用するには?

GithubのVOIRダウンロードページよりVOIRをダウンロードできます。 VOIRを用いた共同研究をご希望の方は大野までメール(pj.ca.ogoyh-u.mis@onho (左右逆にしてください) )をください。

論文等

  1. N. Ohno and A. Kageyama, "VOIR: Interactive Visualization Software for Head-Mounted Display Devices", Proceedings of The 41st JSST Annual International Conference on Simulation Technology, Fukuoka, Japan, pp. 262-265, Aug.31-Sep.2 (2022)
  2. N. Ohno and A. Kageyama, "VOIR: Virtual Reality Visualization Software for Large-Scale Simulations", Plasma Fusion Res. 19, 1401024 (2024) 外部リンク

動画ギャラリー


ローレンツアトラクタを可視化している様子.

陰山先生のダイナモシミュレーションのデータを可視化している様子.

OpenXRでVR出力をできるようにする前のデスクトップバージョン.


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更新日: 2024年10月19日 14時56分19秒
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